●北米仕様に関するどうでもよすぎる情報など
SUZUKI SAMURAIについて
ここではジムニーの北米仕様であるサムライについてのみ、色々まとめようと思います。まず、ジムニーの北米輸出としては、最初に無謀にもLJ10を「スズキ・ブルート」として輸出。しかしこれは世界戦略と言うには程遠い数の輸出であり、またディーラー網も確立されておらず不振に終わったと言えるでしょう。その後は国内で言うJA51(SJ413)の投入に到るまで、ジムニーSJ40に相当するSJ410がハワイでのみ販売されていました。
SJ413サムライが北米市場に登場するのは、GMとの業務提携によってディーラー網を確立した頃でした。G10Aエンジンを搭載したカルタス(スズキ・スイフト。GM名はシボレー・スプリント)の販売後に、いよいよモアパワーの世界戦略車をということでJS413を手直しし、サムライ(SUZUKI・SJ)が誕生しました。
1985〜1989(JC51)
G13A(キャブ仕様)エンジン。外観上の特徴は、「段付き」の樹脂製フェンダーフレア。給油口のキャップはキー無し、白文字英文表記無しのシンプルなもの。ボディパネルの年式から、センターピラー下に一本多くビス穴があり、予めビスが入っている。これはおそらくSJ30F時代のままのパネルで、フル幌用のホックを留める為のものと思われます。グリルはJA51と同じデザインのもので、フロントパネルもそれ用であるから互換性のあるグリルは無い(後年式の物は取り付け穴位置が合わない)。リアゲートに5Speedのエンブレムが備わる。
この当時はハードトップモデルも販売されていたが、販売は低迷しており1989年をもってラインナップ落ち。
1990〜1992
G13BA(EPI仕様)エンジン。国内でいうJB31Wと同じパワーユニットだが、JB31では型式認定の際にミスってAを抜かしてしまい、G13Bエンジンとなっている。フェンダーフレアはスチール製となり、金型が新しくなったのでピラー下のビス穴が廃止。5Speedエンブレムも廃止になる。給油口キャップは白文字表記ありのキー付きになる。シートデザインは国内のターボモデルと同じものになり、ダッシュもJA11型と同デザイン。ただしカラーは国内には無いもの。グリルのデザインが一新され、俗に言うJA11初期グリルに。国内仕様では単色のところを、車体色で塗り分けている。外観上、この仕様が一番サムライらしいと言えるのではないでしょうか。フジミの1/24モデルキットもこのモデルがベース。因みにあのキットの箱絵はボンネットストッパー付きなので北米仕様ではありません(爆
コンバーチブルのみとなったものの、2WDモデルのJAが追加され、更に後に幌と後部座席を装備したJSも登場するなどラインナップは充実。
1992〜1995(JC31)
2WDモデルのJSが廃止され、ラインナップはJA(2WD)とJL(4WD)のみに縮小。1994年にはJAも廃止され、安全基準適合のためにスペアタイヤ裏から生えるサードストップランプが装備されている。バンパー色がグリル同様にガンメタ塗装されるなど、まさしくJB31の幌バージョン。というかJB31のベース車です。その他ステアリングホイールがサイドキックと共通になったりしていますが、1995年をもって販売終了。
※年代については中途半端な時期を含めるので正確ではありません!
北米仕様と国内仕様の相違点
●オーバーフェンダー ('90辺りを境に樹脂製〜JB31と共通のスティール製となる)
●サイドシルのカバー (JB31共通部品。)
●前後バンパー (JB31共通部品。正確には後に塗装がブラックからガンメタに変わる。)
●フード (JA51やJB31と同じものだがJA51幌車には窓枠固定用のフックがある。北米仕様では安全対策のため窓が倒れないのでありえない部品)
●フードクッション (ハードトップはJB31共通。窓枠を支える国内仕様とは違い、開放したフードを支える部品。窓枠固定フックの位置に装着)
●窓枠ヒンジ (窓が倒れないので固定ヒンジとそのカバーが備わる)
●ミラー (出回っているのはOEM供給品で2種類ある。純正は鏡面に”OBJECTS IN MIRROR ’ARE CLOSER THAN THEY APPEAR”と表記される)
●リアヒッチメンバー (後方からの衝突安全基準を満たす為の燃料タンクガードとして装備される)
●タンクガード (上記と同じ理由で純正オプション扱いのタンクガードが標準装備)
●つっかえ棒 (安全対策により窓枠が倒せないだけでなく、ライフスペースを確保する為にセンターピラーと窓枠を固定する。国内ではオプション)
●サイドマーカー (リアはレッド、フロントはアンバーのサイドマーカー)
●リアゲート (立派なハンドルとキーシリンダーが備わり、車外からもゲートを開けられる。因みにハンドルは国内でも純正OPのFRPトップ装着車に使われている)
●センターピラーパッド (国内純正OP品)
●ロールバー&パッド (国内純正OP品。安全対策)
●燃料タンクキャップ (国内のデカいノズルと違い、向こうの有鉛ガソリン用ノズルが入らない構造故、キャップは向こうの規格品で給油口も別部品))
●リアシート&ベルト (分割ではないが足下を広く取ったシートポジション。ベルトはリトラクタブル)
●エンブレム (前期はリアゲート」の端に”5Speed”のエンブレム。)
●ドアロック (細かいですがSAMURAIは室内のドアノブにロックレバーがあります)
●センターブレーキの廃止 (アメリカの安全基準ではプロペラシャフト拘束ではなくホイール拘束の駐車ブレーキが要求された為)
●トレッド (CJ-5の横転問題がキッカケで前後のトレッドを拡大。それでも後にJターン問題で叩かれたのは有名なハナシ)
●メーター (当然マイルメーターである)
☆北米仕様部品ずかん(随時更新)☆
★北米仕様ずかん★
さて、ジムニーのフルUS化にはそれなりに歴史があり、'80s〜'90sのSUPER SHOWやSTREET CAR NATIONALSにはマクリーンのワイヤーを履いたLOW
RIDERなジムニーが少数ながらエントリーしていました。MINI TRUCK'NやLOW RIDERの世界では外装のフルUS化は必須ゆえに、当然SHOW CARとしてのジムニーもフルUS化が施されていました。
それよりもサラっとしたアメリカンフェティッシュ、あるいは純正状態の美しさの尊重や細部のUS化という自己満足的かつマニアックな楽しみ方としてUSDMという言葉が使われるようになり、今ではコアなマニアこそ少数ですが、一般的にひとつのスタイルとして市民権を得ています。
ジムニーでUSDM。この感覚は多くのジムニー乗りには理解不可能なジャンルです。今でこそロッククローリングという競技のおかげでアメリカンなCustomが注目されてはいますが、多くは日本のクロスカントリー事情にマッチした仕様ではない為、ジムニーをこのように弄る習慣自体が業界に存在しません(最近USDMも流行語ですが)。
そんな中、もはや異常ともいえるジムニーUSDMの最高峰をチラッと紹介させてもらいましょう。
これです。samurai complexという自虐的ハンドルネームを掲げる通称「サムコン」さんのJA11です。一部のファン層にはあまりにも有名な一台かもしれません。恐らくこの車両がトップクラスです。と、いうのも北米仕様を完成されたものにするには向こうっぽい雰囲気づくりだけでなく、色々なものが必要になります。例えばJDMとUSDMの相違点に精通していること、部品調達能力に長けていることなど・・・・しかしそれらは調べを進めてゆけば補えますし、ある面ではお財布の厚みに比例もするでしょう。
しかし、情熱という面ではどうでしょう。このJA11、ナンバーが白い事にお気づきでしょうか・・・・・「どうせイベントではカリフォルニアプレート付けるから黄色ナンバーでいいや」なんていう考えが全くありません。私は知り合ってから常々、ここまでの手数なんだからベースをJB31やJA51にすれば・・・と思い続けていました。いずれJB31のシャシにこのボディを積み替えるだろうと・・・・・しかし私の考えは間違っていました。そう、氏はどこまでいってもサムライコンプレックス!まさか660ccで白ナンバー化まで逝ってしまうとは・・・・・・・
ただ660ccのまま白化したジムニーは結構ありますが、それはクロカン系弄りの一端でしかありません。対してこのJA11では白ナンバー化のメリットが忠実な北米化以外全く無いんですから・・・・アホです。相当アホです。アホですがこの画像を見てください。地面の色から背後に駐車しているクルマまでよーく見ると、タダモノではないことがわかります。そして長年このJA11に乗り続けている事、ただ部品を買ってくるのではなく、とりあえず自分で作るという精神。この辺りは氏の主宰するHPをご覧頂ければ目眩がするほど解ると思います。
これはあくまでも「偽サムライ」こだわった最高峰のUSDMと言っても過言ではないでしょう。ハーフとも言える白ナンバージムニーをベースにするのではなく、国内にしか無いものを北米仕様化しているのですから・・・・・
・・・・・つづく
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